真面目アウトドア好きお酒好き友達が多い最近は主夫
東京都出身。事業構想大学院大学卒業、事業構想修士(Master of Project Design)。元々は理系でコテコテの半導体業界から社会人をスタートし、外資系企業を経てアドテクノロジー業界に転身。そして今は街づくりや都市間交流などテリトリーを広げ、最近は野菜作りから自宅でセルフ販売まで。よく人に「で、今何してるの?」と聞かれることもしばしば。社会人大学院で知り合った仲間や講師たちから多くの刺激を受け、いまだこれからの生き方を模索をし続けるドリーマー。
真面目アウトドア好きお酒好き友達が多い最近は主夫
ご家族のお仕事を手伝いながら、インターネット広告関連のお仕事に携わる井上さん。ボランティア団体「世田谷ポートランド都市文化交流協会」の立ち上げメンバーとして、世田谷でのまちづくり活動に取り組み、「MY PEOPLE’S MARKET @SETAGAYA」というマーケットを主催したりと地域社会へ貢献する活動にも積極的に取り組まれています。ポートランドとはどのように出会ったのでしょうか。
「2007〜2012年頭まで勤めていた半導体のメーカーがポートランド発祥で、2012年に昔の同僚に会いに行ったのが最初でした。とてもこじんまりしていて、居心地のいい街だと感じました。
たまたま高校時代の友人が駐在していたことや、その後ポートランドについて学ぶ機会があり、街づくりのモデルになっていることを知りました。そこで暮らす人たちのライフスタイルや生き方は、これからの日本社会のお手本にもなると思いました」
—井上さんが思うポートランドの魅力とは。
「挙げ始めたらきりがありませんが、やっぱり人がいいと思います。みなさん自然を愛し、片意地張らず、オープンでにぎやか。あとワインやビールも美味しい!」
ちなみにお酒は日本酒、焼酎など全般的にお好き。最近は食への関心も高まり、自身でも野菜づくりや、自宅でのセルフマルシェでの販売も始められました。
「2年ほど前から松陰神社前にある『シェア畑』を借りて野菜を作ったり、今年から友人の畑の手伝ったりしています。喜多見で活動している農家の方とも生産緑地の問題などについて話をしていて、日本の農や食の将来に非常に関心を持っています」
これからの社会のあり方について、日々多角的に考え、活動されている井上さん。最近読んだ本では、特に『次世代ガバメント』が印象に残っているそうです。
「特に腑に落ちたのは、これからはSNSを公共インフラになっていくという話でした。デジタル技術を活用した効率の良い行政についても示唆されていて。それは、2019年の台風のときにも感じたことでした。避難所の情報を求めて、世田谷区のホームページにアクセスが集中したそうです。
でも実際は、行政の中にいる人たち自身は目の前の仕事で手一杯なので、変えていくことが難しい。だから、民間が外から働きかけていかなければと思っています」
—その信念にあるものは。
「自分の子どもや若い人たちが、少しでも楽しめるような世の中になるよう、何かできないかなといつも思っています。
半導体メーカーに勤めていたとき、取引先が大手企業や海外との取引も多く、中国や韓国の若くて優秀なエンジニアと仕事をする機会も多くありました。特にインドでは、日本とは違う若いカルチャーやスタートアップカルチャーに触れて、とても前向きな若者たちに出会いました。こういう人たちと一緒にやっていくには、日本ももっと海外と交流を深めて、マインドセットを変えていく必要がある。
かといって、みんながインドに行けるわけではありません。そこで、日本でも受け入れられる暮らしやすい街のモデルとして、ポートランドに絡み始めたという経緯もあります」
三茶WORKの気に入っているポイントを「アットホームなところ」だという井上さん。
「みなさん自然体で仲が良くて、ポートランドに通じる雰囲気を感じます。他のコワーキングスペースを利用した経験もありますが、やはり雰囲気が違いますね。他にはない、手作り感がいいと思います。知り合いに多く会える、人を介して知り合いが増える、繋がっていくところがとても気に入っています」
三茶にはもう14年近く住んでいる三茶ラバー。三茶WORKのなかでも三茶歴はベテランの領域です。
「人生で一番長く住んでいる街なので、愛着を持っています。少しずつ変わっているようで、大きくは変わっていない安心感があります。
個人商店が多いのも魅力ですね。今ままで子どもが小さく、食事は家ですることが多かったのですが、自由な時間も増えてきたのでもっといろいろと探索してみたいです」
—最後に、今後の夢や目標について教えていただきました。
「究極の目標は、娘たちが将来社会人になるとき、悲観的にならず、前向きに仕事を楽しめる世の中になるよう、少しでも貢献することです。
例えば、日本はこれから少子高齢化の問題がより大きくなっていくと思っています。介護需要や税収不足によるインフラの劣化などが起きるなかで、下手すれば収入の半分以上が年金や社会保険で消えていくこともあるかもしれません。
そうならないよう、みんなが行政に頼らなくても少しずつ支えられるコミュニティがあったり、食べる分の野菜を自ら作れたり、シェアできたり。そんな世の中にするべく、海外との橋渡しも含め公私で活動できればと思っています」
インタビュー:2020年3月時点
Photography:Tomohiro Mazawa
Interview/Text:Yukari Yamada