インタビュー

ジェイソン・シェーファー

アメリカ長老教会の牧師、
日本長老伝道会の宣教師

信仰冒険楽天的自然好奇心

くらしの会話がはずむ場所を求めて

カリフォルニア出身、ネブラスカ大学にて水資源工学を学ぶ。 エンジニアとして働いたのち、クリスチャン牧師に転身。 2015年に神学校を卒業し、アメリカ長老派教会の牧師に任命。 2017年より家族(妻と6歳、5歳、2歳の息子)と世田谷で暮らす。現在は日本の長老派伝道会に牧師として勤める。2年間の牧師インターンシップ後、新しい教会の開拓に携わる予定。

信仰冒険楽天的自然好奇心

インタビュー
くらしの会話がはずむ場所を求めて ––3CW Member Interview

三茶WORKのメンバーでは初めてのアメリカ人で、牧師のジェイソン・シェーファーさん。日本へは2017年の10月にご家族とともにやってきました。

ご出身はサンフランシスコにほど近い、ハーフムーンベイ(カリフォルニア州)。幼い頃からいつも自然が傍にあり、今でも自然が大好きだといいます。

「両親はカリフォルニア州立公園の職員として働いていました。ハーフムーンベイは小さな町ですが、AppleのMac OSX のコードネームで知られる、マーベリックス(Mavericks)という伝説的な波が現れる海岸があります。家から25mくらいですぐ海に出られたので、いつも海で遊んでいました。さらに東に3時間ほど足を伸ばせば、こちらもOS名のシエラ・ネバダ(Sierra Nevada、Hi Sierraとも呼ばれる)山脈があって、何度かスノーボードをしに行ったこともあります」

高校生のときから数学が好きになり、奨学金を受けながら大学で水資源工学を専攻。得意の数学を大好きな自然や環境に活かせたらという想いからの選択でした。テクニカルな分野から、どのようにして牧師の道に進んでいったのでしょう。

「家族や親にクリスチャンはいませんでしたが、大学の近くの教会へ毎週友人と足を運ぶようになり、世界の真実や行いに対するキリスト教の教えに共感していきました。それまで携わっていた分野で就職してエンジニアとして働いていたんですが、やっぱり教えることに喜びを感じたし、性にも合っていると思ったので、キリスト教に携わる仕事をしようと決めました」

仕事を辞め、2015年には神学修士号を取得。アメリカ長老教会の牧師に任命されました。「アメリカにクリスチャンは多いけれど、クリスチャンが少ない場所にこそ自分が必要とされていると思った」と日本への移住を決意し、来日。現在は世田谷区に拠点のある教会法人に経済的な支援を受けつつ、日本語の習得や牧師のインターンの準備を行なっているそうです。

「これまでの約2年間は日本語の勉強に専念してきて、この9月からいよいよ牧師のインターンが始まります。世田谷区か杉並区の教会に行くことになると思うのですが、具体的な仕事としては礼拝、聖書の説教や研究、カウンセリングなどを行う予定です」

三茶WORKは、2020年の2月から日本語の勉強の場として利用しはじめました。

「日本語を学ぶには語学学校もありますが、もっと大人の方との日常会話の練習をしたくて、シェアオフィスのような間接的な場所を探していたときに、三茶WORKを見つけました。コミュニティのあるシェアオフィスだし、三茶へは毎日自転車で幼稚園に息子を連れて来ているから通いやすい。街の雰囲気も好きだったので決めました」

実践会話のほかに、大きなカバンにぎっしりと詰めたテキストブックやスマホアプリを駆使しながら日々日本語を勉強中。しかし今年の6月、受験する予定だった日本語能力試験が新型コロナウイルスの影響で中止になってしまいました。

「試験をパスするために文法を中心に勉強していたのですが、中止になったことで時間を無駄にしてしまいました……。結局今は仕事のためにスピーキングのほうが必要になってきているので、三茶WORKで過ごす時間に、たくさんの方とお話がしたいと思っています」

プライベートでは、6歳と4歳と2歳の子どもを持つお父さん。楽しそうにご家族との生活を話してくれました。

「アメリカでの通学は基本的に親が車で連れて行くのですが、長男は今年から毎日一人で小学校に通っていて、素晴らしいなと思います。だんだん僕より日本語が上手になってきて、『お父さん、ここは違うよ』と指摘されることもあるんですよ(笑)」

日本にやってきてからもよくご家族で海や山へ出かけるそう。

「このあいだは湘南の海に行きました。奥多摩の山にも家族でよく行くのですが、たくさんの登山道があるのでいろいろ辿ってみるのが楽しいです。東京から近くて便利ですね」

日頃からお子さんを連れて羽根木公園や若林公園、駒沢オリンピック公園などへも訪れることが多いといいます。まだまだお子さんが小さいため、あまり夜飲み歩くようなことはできていないそうですが、三角地帯などにも行ってみたいとのこと。日本の自然も文化も好きだと話すジェイソンさん。好きな文化について聞いてみると、

「日本は何においても丁寧ですし、道もきれいですよね。アメリカでは個々が自分のために働くという考え方が一般的ですが、日本だは社会や平和のために協調して働いている。それついてはポジティブな面もネガティブな面も両方あるけど、アメリカ人にとってはすごく新鮮な感覚です」

エンジニアから牧師へと大きく舵を切ったジェイソンさん。好きだった数学からも今は離れ、苦手だったはずの文学や宗教の世界にいることを少し不思議に思いながらも、日本での生活と仕事を楽しんでいるようです。

「高校生の頃の自分に『牧師になったよ』と言っても、きっと嘘をついていると思われるでしょうね(笑)。たまに『工学を学んだことを後悔する?』と聞かれることもありますが、そういう経験を積み重ねて今があるから、全く後悔していません」

インタビュー:2020年7月時点

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