アートディレクショングラフィックデザイン関西お笑い音楽
大阪生まれ・兵庫育ち。広告制作会社(株)たき工房とデザイン事務所quiaで10年間キャリアを積み、2020年4月に独立。現在は主にCDジャケットのアートディレクション&デザインや、ステーショナリーのデザイン、その商品に付随するPOP・販促物・Webサイトなどをデザインしています。
アートディレクショングラフィックデザイン関西お笑い音楽
2020年4月の独立と同時に、三茶WORKのメンバーとなった村上智香(むらかみ・ともか)さん。インタビュー前にお願いしたアンケートで、これからの目標についてのこんな回答がとても印象的でした。
「デザインでアーティストを応援したい。野望を言えば、例えばアーティストにデビューから関わって、武道館ライブに至るまでデザインで寄り添えたら嬉しいなと夢見ています」
高校生の頃から音楽をよく聴いていて、「好きなアーティストが巻頭特集になっている音楽雑誌は今でも捨てられない」と話してくれた村上さん。CDジャケットのデザインをすることを夢見て、大学ではグラフィックデザインを専攻しました。しかし、卒業後の就職先は広告の制作会社を選んだそうです。
「大学在学中に佐野研二郎さんというクリエイターの講演を聴く機会があって、広告の仕事に興味を持ちました。広告業界ではいろいろなジャンルのデザインに関われるので勉強になるし、代理店の方とお仕事をする機会も多いので人との関わりが多いんです。幅広く経験を積むことができるのが広告業界の魅力だと感じました。全国に打ち出される広告をデザインしたいという思いもあり、東京の会社に就職しました。」
広告制作に勤しむあいだも、趣味として音楽ライブに足を運んでいたという村上さん。そのなかで再び音楽関係の仕事がしたいという気持ちが募ってゆき、5年半後、ご縁がありデザイン事務所に転職。CDジャケットをデザインするという夢を叶えました。そして4年半ほど所属したあいだ着実に実績を積んでゆき、デザイナー歴10年を終えた春に独立する決心を固めました。
しかし、担当するのはアートディレクションやデザインだけでないこともしばしば。フォトグラファーやヘアメイクなどスタッフのアサイン、撮影の進行など、1つのビジュアルが出来上がるまでの一連をたった一人で行うというから驚きです。
「パソコンで完結するデザインの仕事もありますが、撮影のある案件では撮影現場でディレクションも行います。撮影に伴いスタジオやロケ場所の選定、当日の香盤組み、スタッフさんのお弁当や駐車場の手配など、デザイン以外の業務も行います。夏であれば熱中食対策など、気をつけることも増えますね」
この取材でも、もちろんフォトグラファーの腕もありますが、緊張せずに撮影に応じてくれたので話を聞いてみると、「ロケハンで自分がスタンドイン(撮影で照明の加減や立ち位置などをチェックする際に立てるモデルの代役)になることがあるから慣れているんです」と村上さん。企画から仕上げまですべてに関わることに加え、現場でも自身の身体を使ってものづくりに参加することでアーティストの魅力を最大限に引き出すことができるのでしょう。
ステーショナリーのデザインでも、商品のディレクションだけでなくその周辺まで関わっています。
「キングジムさんとお仕事させていただいて、バッグインバッグやペンケース、ノートカバーなどもデザインさせていただきました。カラーリングやロゴを考えたり、パンフレット作ったり。Webサイトのデザインも、商品撮影のディレクションを含めて任せていただいています」
仕事をするうえで、大切にしていることは。
「今はフリーランスなりたてなので、とりあえずやってみようという気持ちでいろんな案件に取り組んでいます。どんな案件でも、本当にいいと思えることを提案するように心がけています。私に相談してよかったと思っていただければ嬉しいです」
デザイン事務所に在籍していた頃から三茶で暮らし始め、三茶歴は4年ほど。
「当時勤めていたデザイン事務所が渋谷にあったから近かったこともありますが、三茶に住んでるって言いたかったんですよね(笑)。それにクリエイターの知り合いもいっぱい住んでいたので、交流もありそうだなと思って。物件は三茶一本で探していました」
三茶WORKを知ったのは、立ち上げ時のクラウドファンディングに参加した知人からの紹介でした。
「ちょうどフリーランスになろうかなって話をしていたときに『三茶にいいコワーキングスペースがあるよ』と教えていただきました。フリーランスの人がたくさんいるとなんだか心強いですね。好きなカレーも食べられるし、気に入っています。
それとやっぱり、賑やかな環境が好きなんです。仕事に集中するときは静かになるんですが、息抜きするときは人と喋りたいから、一人だとどうも寂しくて。実は前職のデザイン事務所もシェアオフィスの中にあり、飲食できるスペースにいる人とよく喋っていました。関西人だからなのかは分かりませんが、気になる話が聞こえてきたらツッコミみたくなっちゃいますね」
そんなお喋り好きの村上さんは、お笑いも大好き。プライベートな時間にYoutubeを観たり仕事中のBGMにラジオを聴いたりと、お笑いを日常の楽しみにしているそうです。
「今までは関西のお笑い芸人をよく見ていたんですが、ここ4、5年はオードリーにハマっています。(世田谷の)若林に住み始めたのをきっかけに(オードリーの)若林さんが気になり始めるという(笑)。それからは若林さんの話に出てくる芸人の漫才とかも見るようになりました。音楽と同じく、ゆくゆくはお笑い関係のお仕事もしたいです。目指せオードリー!(笑)」
オードリー以外で好きなお笑い芸人や、好きなアーティストの名前を具体的に挙げるのは少し恥ずかしい……とのことでしたのでインタビューでは伏せましたが、気になる方はぜひ村上さんにお声がけしてみてください。
インタビュー:2020年9月時点
Photography:Tomohiro Mazawa
Interview/Text:Yukari Yamada